抱っこひもが引き起こす腰痛! 肋骨へのストレスがもたらす改善されない痛み

抱っこひもが引き起こす腰痛! 肋骨へのストレスがもたらす改善されない痛み

子育て中のママにとって、抱っこひもは必需品です。しかし、その選択を誤ると何年も続く腰痛が引き起こされる場合があります。今回、産後6年たっても腰痛が続くママの症状を分析したところ、抱っこひもが原因であったことが分かってきました。ママご自身、将来のママ、そして産後ケアに関わる皆さんに読んでもらいたい情報を提供します。

 

1. 帝王切開による産後6年、肋骨と腰が痛い!

子育ては喜びに満ちた経験ですが、産後の身体の変化は誰にでも影響を与えます。今回、帝王切開を経験したママが産後6年たったのに腰痛が続いているということで、ファシアケアを行いました。

 

2. 肋骨に沿って腹筋が硬くなっていた

まず、肋骨の内側(腹筋)に引きつるような痛みがありました。身体を捻ったり、咳やくしゃみでズンと痛みます。この状態が産後続いているとのことでした。

1つの特徴として、みぞおちあたりで肋骨がめくれ上がったようになっていました。リブフレアと言われる状態です。このことで、肋骨に引き上げられた腹筋が強く引っ張られて謹聴していました。

また、帝王切開の傷から肋骨にかけての腹筋どうしに癒着がありました。これは妊娠中に数ヶ月にもわたって腹筋が互いに押しつけられ、はち切れそうなくらいに強く緊張していたために起こったと想像されます。

そして、重要な点は、脇腹のあたりに先端がある第11肋骨が骨盤の方に強く引き下げられていました。肋骨の先端を上げようとするとその下の腹筋が強く抵抗します。これを弛めないと肋骨の先端は下がりっぱなしだと考えられました。

 

3. 腰部の背筋の外側にも強い緊張

妊娠中にお腹が大きくなると、自然にのけぞったような姿勢になります。スウェーバックと呼ばれます。そのときに腰の筋肉は短縮して,硬くなり安いのです。

今回のママも、腰の外側の筋肉が強く緊張してしまい、一番下にある第12肋骨を強く引き下げていました。このことにより肋骨の先端は下方に向いてしまい、上方に上げようとすると背筋が強く緊張して,抵抗しました。

 

4. 背骨の直ぐそば、腰ではなく肋骨の付け根の痛みだった

初めは腰痛と思われましたが、実際には腰部ではなく、第11肋骨と第12肋骨の付け根付近に痛みがありました。背骨から3cm程度離れた位置の背筋を触ると、多裂筋が強く緊張してしこりを作っていました。どうやら、この筋肉の緊張が、6年間続いた痛みの正体のようです。

 

5. 抱っこひものベルトが肋骨を押し込んでいた可能性

第11肋骨は下方にひかれるだけで無く、腹部の奥の方に押し込まれた状態になっていました。このことは、抱っこひものベルトの一本が肋骨を押し込んでいた可能性があります。これにより第11肋骨の付け根にはさらに強い負担がかかっていることが推測されました。

このように、腹筋と腰部の背筋が肋骨を引き下げ、抱っこひもの影響で第11肋骨が奥の方に押し込まれていると、誰かがそのメカニズムを解消させない限り半永久的に痛みが続いてしまう可能性があります。最悪、悪化する可能性もあります。

 

7. 治療法

このままに行った治療を簡単に紹介します。

●腹筋のリリース:

腹筋どうしの癒着をリリースして、筋肉の緊張をほぐし、肋骨への負担を軽減しました。第11肋骨を上方に押しても、腹筋が抵抗しなくなりました。

 

●背筋(腰部)のリリース:

腰の背筋のうち、外側寄りの筋肉の癒着をリリースし、腰方形筋や腸肋筋を徹底的に弛めていきました。その結果、第12肋骨を上方におしても背筋が抵抗しなくなりました。 

 

●背筋(肋骨の付け根)のリリース:

背骨の直ぐそばで、肋骨の付け根付近で緊張している筋肉をリリースして弛めていきました。実際には、上の2つの治療で肋骨の位置が改善していたので、この部分のリリースは最小限で済みました。

 

8. まとめ

この記事では、抱っこひもが引き起こす腰痛の原因と解決策を詳しく説明しました。子育て中のママたちは、肋骨を押し込むようなベルトのない抱っこひもを選択されることが推奨されます。もしも迷われたら、当方にご相談ください。アドバイスいたします。

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