産後の骨盤底筋の不調に悩むママへ
「くしゃみをするとちょっとずれる」その違和感、放っておいていいの?
産後3ヶ月の彩子さん(仮名)は、階段を上り下りするたびに感じる骨盤の違和感に悩んでいました。「くしゃみをするとちょっと尿が漏れる」「重いものを持つと下腹部がズンと重くなる」――こうした症状、実はとても多くのママが経験しています。日本排泄ケア研究会の調査によると、産後女性の30-50%が尿もれを経験すると報告されています。
身体の中で何が起きているのか?
妊娠中に分泌されるリラキシンというホルモンは、骨盤の靭帯を緩める作用があります。これは赤ちゃんが産道を通るために必要な変化ですが、出産時には骨盤底筋群が最大限に伸張されます。この"過伸展"が、筋肉や筋膜の機能低下を招き、次のような問題の原因となります。
- 尿もれ(腹圧性尿失禁)
- 骨盤臓器の位置異常(子宮や膀胱の下垂)
- 下腹部の重だるさ
- 性交時の不快感
自己流ケアの落とし穴
「骨盤矯正」と称する施術や市販の骨盤ベルトに頼る前に知っておくべきことがあります。
- 骨盤ベルトの過度な締め付け:内臓の自然な位置が保てなくなり、下垂を悪化させる可能性
- クランチ運動:腹圧をかけることで骨盤底にさらなる負担がかかる
- テニスボールを使ったマッサージ:筋膜を傷つけ、逆に癒着を作り出すリスク
エビデンスに基づいた正しいアプローチ
産後6ヶ月までに行うケアが特に重要です。日本女性医学学会によると、適切なケアを行えば90%以上の改善が期待できます。
- 組織間リリース:癒着した筋膜を解放し、組織の滑走性を回復
- 骨盤底筋トレーニング:正しい収縮方法を学び、筋肉と神経の連携を再教育
- 姿勢エデュケーション:日常動作での負担を軽減する身体の使い方
産後のケアで大切なこと
まずは医療機関で検査を受け、異常がないことを確認してください。その後、必要に応じて専門家によるケアを検討しましょう。一般的な整体やマッサージでは、産後に生じる筋膜の癒着や神経の過敏化に対応できない場合があります。
私たちが提供するケアは、身体の状態を「見える化」し、エビデンスに基づいたアプローチで身体の本来の機能を取り戻すお手伝いをします。
詳しいケア方法を知る
参考資料:
1. 日本排泄ケア研究会「産後骨盤底筋障害の実態調査」(2024)
2. 日本女性医学学会「骨盤底筋トレーニングの効果に関する研究」(2023)
3. 厚生労働省「女性の健康に関する統計」
4. PubMed「Postpartum pelvic floor muscle training」(2022)