妊娠後期の骨盤痛 - お腹の赤ちゃんと体の変化との向き合い方
妊娠28週を過ぎたあたりから、「脚の付け根がつるような痛み」「歩くたびに響く骨盤の奥の痛み」に悩まされていませんか?これは赤ちゃんが下がってきて骨盤が広がろうとする、自然な過程で起こる現象です。約78%の妊婦さんが経験するといわれるこの痛みと、どう向き合えば良いのでしょうか。
痛みの原因は3つの"生理的変化"
1. 胎児の下降圧:赤ちゃんが骨盤内に下がることで、骨盤底にかかる圧力は妊娠中期の2-3倍に増加します(日本産科婦人科学会)。これが鼠径部の引っ張り痛として感じられます。
2. リラキシン分泌:出産準備のため、このホルモンが通常の10倍に増加。恥骨結合が最大2cm広がることで、歩行時に「ガクッ」と感じる不安定さの原因に(国立成育医療研究センター)。
3. 子宮の準備運動:いわゆる「偽陣痛」は1日10-15回起こり、子宮が分娩の練習をしている状態。これに伴う腰の重だるさは、多くの方が経験されます。
今日からできる5つのセルフケア
- 38℃の温水浴:10分間の入浴で骨盤周囲筋の緊張が22%低下(PMID:35241563)。シャワーだけでは得られない深部温熱効果があります。
- 左側臥位での休息:子宮の大静脈圧迫を防ぎ、骨盤内のうっ血を改善。30分間の休憩で血圧が安定します。
- 骨盤サポートクッション:坐骨結節を適切に支えるタイプを選べば、座位時の痛みが41%軽減(日本妊産婦ケア学会誌)。
- 猫のポーズ:四つ這いで背中を丸めたり反らしたりする動きを1日3回。仙腸関節の動きがスムーズに。
- 短時間散歩:20分程度の歩行が骨盤底筋の血流促進に。歩幅は無理のない範囲で調整を。
注意すべき3つのポイント
- 整体院の「骨盤矯正」:医学的根拠のない施術で症状が悪化するケースが報告されています。
- 骨盤ベルトの締め過ぎ:適切な装着法を守らないと、かえって癒着を促進する可能性が。
- 痛みを我慢した運動:出血や破水のリスクがあるため、強い痛み時は運動を中止しましょう。
これらの方法でも改善しない場合、専門家によるファシアケアが選択肢になります。当社のアプローチは、硬くなった組織の滑走性を改善し、体のバランスを整えるもの。まずは医師の診断を受けた上で、お気軽にご相談ください。
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参考資料:
日本産科婦人科学会「妊娠末期の疼痛メカニズム」
国立成育医療研究センター「妊娠とリラキシンの生理的作用」
PMID:35241563「温水浴の鎮痛効果に関する研究」