尾てい骨の長く続く痛みに苦しんでいる方へ、まずは痛みの原因を突き止めましょう!

尾てい骨の長く続く痛みに苦しんでいる方へ、まずは痛みの原因を突き止めましょう!

1. 尾骨部の痛みの具体的な症状と生活の困難

尾骨部の痛みは、坐る、立つ、歩くなど日常生活の基本動作に影響を与えることがあります。症状には個人差がありますが、鋭い痛み、鈍痛、焼けつくような痛みなどがあります。生活の困難としては、座ることが困難になることが特徴です。重症化して、睡眠障害に至る場合や精神的ストレスなどが発生することがあります。今回は、このような尾てい骨の痛みに悩んでいる方に向けて,突破口をお伝えしたいと思います。

 

2. 原因として想定すべきこと

尾骨部の痛みは様々な原因により引き起こされます。以下のように、単純な原因では無く、いくつかの原因が重なっている場合もあるのです。したがって、しらみつぶしに、想定される原因を1つずつ減らしていくことが重要となります。

 

尾椎変形

  • 尾椎の形状や位置の異常が痛みを引き起こす可能性があります。

  • 階段やスノーボードで尻餅をつくような転び方をすると、尾骨に変形が起こることがあります。また出産で、尾骨が折れ曲がったようになってしまう場合があります。

 

尾椎変形が生じたときの血腫後の癒着 

  • 尾椎の変形が起こると,捻挫のように腫れてしまうことがあります。そして、その血腫が癒着を引き起こし、動きの制限や痛みが生じることがあります。

  • 腫れは、肛門挙筋(特に尾骨筋)の浅層だけでなく、深部(直腸側)に出来てしまうことがあり、癒着の範囲にも個人差があります。

 

肛門尾骨神経の癒着と慢性的な刺激 

  • 尾骨から肛門に伸びる神経が変形した尾骨に癒着したり、血腫によって癒着したりして痛みを引き起こすことがあります。

  • 尾骨自体に負担をかけなくても、座ったときなどに肛門が圧迫されるだけでも痛みが生じる場合があります。

 

陰部神経痛

  • 陰部神経の異常が引き起こす神経痛によって起こる痛みがあります。陰部神経が単独で痛むようになった原因がよく分からないこともあります。

  • 尾骨から2cm程度横にずれたところから坐骨の内側(肛門の横)あたりに痛みが広がる場合があります。

 

陰部神経管内における内陰部静脈の拡張

  • 陰部神経管とは、陰部神経や内陰部動脈・静脈を含む管です。この中で、内陰部静脈が怒張すると、陰部神経が圧迫されてしまうことがあります。

  • 内陰部静脈が怒張する理由は、骨盤の中で内腸骨静脈から内陰部静脈にかけてのどこかが圧迫されてしまうことが考えられます。

 

出産に伴う会陰部出血後の血腫後の癒着による痛み

  • 出産時に会陰が切れてしまうことがあります。酷い場合には、膣の後ろ側の壁が切れてしまうこともあります。その結果、膣と肛門の間に腫れが生じ、その後癒着が起こります。

  • これによって肛門括約筋や会陰部の筋肉,神経、血管などに癒着が起こることがあり痛みを出すことがあります。この傷を縫うときの糸自体は溶けて吸収されますが、糸が周囲の脂肪と絡みついて痛みが残ってしまうことがあります。

  

3. 原因別の症状

尾骨周辺の痛みがあるときに、以下のような特徴から原因をある程度絞り込むことができます。

 

血管由来の疼痛の除外

  • 通常、立っていると痛み強く、横になると楽になります。四󠄀つ這い位になって子宮を重力で前に移動させると、内腸骨静脈への圧迫が軽減されて、陰部神経の圧迫による症状が軽くなることがあります。

 

尾骨のアライメント矯正による変化

  • 尾骨が横に曲がっている場合は指で尾骨をまっすぐに戻せる場合があります。戻してすっぽりと元の位置に納まる場合があります。そのような場合は、尾骨の矯正によって尾骨自体の痛みが改善することがあります。

 

陰部神経、肛門尾骨神経のリリースによる変化

  • これらの神経を徒手的にリリースして、周囲との癒着を解消することで痛みが軽減される場合があります。

 

尾骨筋深部の癒着のリリースによる変化

  • 尾椎変形によって尾骨筋の深部の癒着をリリースすると、痛みが軽減する場合があります。

 

会陰部血腫の影響による癒着のリリースによる変化

  • 会陰部の血腫後の癒着の結果、膣から肛門にかけての皮下や脂肪に違和感が生じることがあります。膣壁損傷後の痛みの場合は腟後壁を肛門側からこするようにするとリリースできます。これらにより、肛門周囲の違和感や痛み、臓器下垂感が改善する場合があります。

 

以上のように、原因を特定するには想定される全ての原因を改善していき、それぞれの結果としてどのような症状の変化が起こるのかを確認する必要があります。症状の変化が大きいときに、原因が絞り込まれるのです。

 

4. 治療法

評価結果に基づき、痛みの原因となっている部分を特定し、その部分をターゲットに治療を進めます。基本的に徒手的なリリースしか方法はないので、組織間リリースの技術に習熟したセラピストに治療を委ねることが望ましいと考えています。

 

5. まとめ

尾骨部の痛みは、複合した原因から発生することが多く、そのため全ての発症源に対する治療が必要となります。痛みの原因を正確に診断し、効果的な治療法を適用することで、痛みの軽減と生活の質の向上が期待できます。

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