ベンチプレスで肩を前に突き出すクセを直せないアスリートへ

ベンチプレスで肩を前に突き出すクセを直せないアスリートへ

ベンチプレスでのトラブル:肩の突き出し

ベンチプレスがうまくできないと感じているアスリートの皆さん、あなたは一人ではありません。多くのアスリートは肩を後ろに固定できず、どんなに意識しても肩を前に突き出してしまうのです。

この問題は、多くの人々が直面している一般的な問題であり、解決策は存在します。特に、肩が前に突き出すクセがあるという問題に焦点を当てて、その原因と解決策を詳しく説明します。

 

原因を理解する:筋肉の癒着 

なぜ肩が前に突き出すのか、その原因を理解することから始めましょう。肩の突き出しは主に二つの要因によって引き起こされます。

一つ目は、大胸筋がその深部の小胸筋、上腕二頭筋短頭・長頭、そして腕神経叢や腋窩静脈と癒着していることが挙げられます。大胸筋が緊張するときに、小胸筋も同時に緊張することにより肩が前に引き出されてしまうのです。

二つ目は、肩甲骨の安定性(固定力)が不足していることが挙げられます。その原因として前鋸筋や菱形筋がうまく働かないこと、そして小胸筋が過緊張の状態にあることがあります。この小胸筋の過緊張は、上で書いた大胸筋との癒着が影響している場合があります。

 

解決策

では、この問題をどのように解決すれば良いのでしょうか。答えは、①癒着のリリース、②肩甲骨の位置の改善(アライメント改善)、そして③肩甲骨の安定化の3段階の修正が必要です。

 

①癒着のリリース

癒着のリリースには「組織間リリース」を用います。特に大胸筋の奥には腕神経叢という神経と血管の束があり、これらを潰すこと無く癒着のみを丁寧にリリースしていく必要があります。

神経や血管を潰すことは絶対に避けなければなりません。組織間リリースは選手自身が出来ることでは無く、組織間リリースを習得したプロのセラピストに任せましょう。

リリースすべき癒着は大胸筋周囲に起こります。大胸筋がその深部の小胸筋、上腕二頭筋短頭・長頭、そして腕神経叢や腋窩静脈との癒着を見つけ、確実にリリースを進めていきます.特に脇の下では腕神経叢と腋窩静脈から多数の神経や血管が分岐しています。これらの神経や血管を潰したり,引っ張ったりすること無く、癒着部位のみをリリースするには熟練した技術が必要になります。

リリース後には大胸筋のストレッチが必要です。胸部の筋肉をストレッチするには、ドアフレームを利用したストレッチが効果的です。ドアフレームに手を置き、体をゆっくりと前に倒すことで、大胸筋を伸ばすことができます。

 

②肩甲骨の位置の改善(アライメント改善)

ベンチプレスにおける理想の肩甲骨の位置は、

・下制(下方に移動した状態)

・内転(背骨に近づいた状態)

・後傾(肩先がベンチに接触した状態)

です。 

これを達成するためには

・小胸筋

・前鋸筋上縁(第2肋骨上)

・肩甲挙筋・僧帽筋上部線維

・前胸筋下部・広背筋の交差部

などをリリースして、十分な柔軟性を獲得する必要があるのです。通常、これらの癒着が長期間に及ぶ場合は、かなり頑固に癒着している場合があるので、個々に対しても組織間リリースを用いる必要があります。

 

③肩甲骨の安定化

この位置を保てるようにするには僧帽筋下部線維、菱形筋、前鋸筋などを鍛える必要があります。

肩甲骨の安定化のためには、

・プルダウン(菱形筋)

・ディップス(僧帽筋下部)

・プッシュアップ+(前鋸筋)

などのトレーニングが有効です。

これらを個別に鍛えた上で、トレーナーによってランダムな方向への抵抗に抗して肩甲骨を固定する「リズミックスタビライゼーション」が有効です。

 

まとめ

肩の前方への突き出しを改善することで、ベンチプレスのパフォーマンスは大幅に向上します。そして、それはあなたがより強く、より健康的なアスリートになるための一歩となります。あなたがベンチプレスでの成功を追求する上で、この記事が一助となれば幸いです。


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