ACL再建術に問題なく、再建靱帯も完璧だが膝周囲の違和感のためパフォーマンスが上がらない

ACL再建術に問題なく、再建靱帯も完璧だが膝周囲の違和感のためパフォーマンスが上がらない

ACL再建術後の違和感とパフォーマンス低下

ACL再建術に問題がなく、再建靱帯も完璧。しかし、膝周囲の違和感だらけでパフォーマンスが上がらない。そんな経過をたどっているときに考えるべきは何でしょうか。

 

違和感の例

膝の伸展制限とその影響

膝の伸展制限は、違和感の一つの原因です。膝が十分に伸びないと、力が入らず、パフォーマンスが低下します。これは、筋肉や神経の癒着が原因で、突っ張りや痛みを感じることもあります。

術後半年も経過して伸展制限が残ってしまうと,膝周囲の全ての筋や血管、神経までも含めて癒着が起こっていると考える必要があります。膝の裏の血管、神経、筋肉が癒着していることを想定しておく必要があります。

また膝蓋下脂肪体拘縮も合併している場合があります。これは膝の正面の膝蓋腱の奥にある脂肪ですが、これが硬くなると膝を伸ばすときに膝の前が詰まって伸びなくなってしまいます。

膝が伸びないと力が入りません。片脚で地面を強く蹴ることができなくなるので、スポーツパフォーマンスに強く悪影響を及ぼします。トレーニングでは解決できません。伸展制限を取り除くことが不可欠ななのです。

 

しゃがむと痛い、片脚でスクワットすると脱力する

この違和感は、しゃがむときや片脚でスクワットするときに特に感じられます。特に片脚スクワット時には、膝蓋骨が外方にずれてくるため、脱力感を感じることがあります。

両脚スクワットがスムーズに出来ない、痛みが生じるという場合は、単純に膝の屈曲可動域が回復していない場合が多いのです。体重をかけずに手で膝を曲げようとしたときの可動域も不十分なのです。

膝が曲がらない理由は、膝の周囲の筋肉や筋膜が癒着しているために起こります。膝蓋上嚢という大腿四頭筋の深部の関節包の一部が癒着している場合もあります。膝蓋腱や膝蓋下脂肪体の癒着が影響している場合もあります。

片脚スクワットで脱力する場合もあります。これはほとんどの場合、膝蓋骨が外側に引っ張られているためです。その背景には腸脛靱帯や外側広筋が癒着して硬くなっているために起こります。膝蓋骨の動きを正常化することが重要なのです。

 

同じ姿勢をしているとひざがこわばる

同じ姿勢を続けていると、膝周囲の筋肉が緊張し、こわばりを感じることがあります。これも違和感の一因となります。朝起きると膝がこわばっている場合などが代表的です。

こわばりを無くすためには、膝周囲の筋肉や筋膜の癒着をすべて解消させる必要があり、たいへん手間がかかります。しかし、こわばりがあると絶対にスムーズな,違和感のない膝にはなりません。子ども時のようなスムーズな関節を目指したリハビリが必要になります。

 

違和感を取り除くためには

これらの違和感を取り除くためには、まずその原因を特定することが重要です。それには専門的な知識と経験が必要となります。適切なリハビリとは、ただ単に筋力をつけるだけでなく、関節の周囲の筋肉や神経、血管の癒着を全て解消させ、さらには正しい動き方を身につけることも含みます。

専門家から見て、違和感を解消するためにはどのようなアプローチが有効なのでしょうか。違和感を解消するための具体的な手法について解説します。

 

癒着解消のための組織間リリース

これらの違和感を取り除くには、筋肉や神経、血管の癒着をリリースすることが不可欠です。そして、強いマッサージやボールやローラーでゴロゴロと潰すようなセルフケアでは絶対に解決できません。むしろ、これらは炎症を作り、癒着をより頑固な状態にしてしまいます。決して治療を早めることにはなりません。

組織間リリースは,精密触診という高度な触診技術がないと効果的に実施することは出来ません。精密触診を使うことにより、膝の周囲の血管や神経も含めて、すべての癒着を正確に触知することができます。そして、膝の動きに伴って緊張を増すような組織があれば,それを作っている癒着を見つけていくことができるようになるのです。

その上で、癒着部位に対して強い力を加えることなく、1mmずつリリースしていきます。1mmというのは1回のリリースで無理なくリリースできる範囲です。一度に3mm、5mmと欲張ってリリースしようとすると、結果的にその周囲の筋肉や神経も潰してしまうことになり、痛いだけの治療になってしまうのです。

 

ACL再建術後の違和感と向き合うための一歩

ACL再建術後の違和感と向き合うための一歩とは何でしょうか。それは自分の体を理解し、適切な治療を受けることです。なかなか治らない違和感に対してトレーニングを積み重ねても絶対に違和感は解消されません。まずは滑らかな,スムーズな,違和感のない膝を取り戻し、その後全く違和感のない状態でトレーニングに取り組むことをお奨めします。

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